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ハッと気づいた時、辺りがすでに暗くなっていた。
「あ…れ?」
自分が寝てしまったことに驚き、慌ててベッドを降りてイスに座る。
トントン…ガチャ
「みや…?」
「あ…お兄ちゃん…。」
「社長と奥さんが、みやを心配して…様子を見に来た。
入って…いい?」
みやは涙の跡をさっと拭い、頷いた。
「みや、なんかあった?
俺に…話して。」
そう言われた途端に、泣き尽くしたはずの目から溢れる涙。
晴人に肩を抱かれ、ベッドを背にした状態で床に座らされる。
「どうした?みや…。」
「お、お兄ちゃんの…せいだよ。」
「俺…何かした?」
「お兄ちゃんが…お兄ちゃんが悪いんだもん!」
みやは、堪らずに声を上げて泣いた。
晴人は、ずっとみやの肩を撫でて泣き止むのを待った。
ヒック…ヒック…。
部屋じゅうに、みやの泣きじゃくる声のみが響いていた。
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