《12》

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  私は言葉を探していた。 この先に進むための。 確実な何かを手にするための。 この場にあるものを壊さないための。 ……けれど、それは私の方だけだったようだ。 佐川にしがみついていた私の手を、彼が取った。 握り込んでくれるのかという期待は、すぐに消える。 彼が、私の手をそっと剥がしたからだ。 しゅるしゅるとしぼんでいくかのような熱に、焦りが生まれた。 「っ……」 何か言おうとして、顔を上げる。 けれど私のそんな焦燥を置いてけぼりにして、佐川はこう言った。 「……勝手なことをして、悪かった」 .
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