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ずくん、と。
胸の中心に、楔を打たれたかのような痛みが走る。
そんな謝罪を与えられても、納得できない。
私は震えそうになる唇で、彼に反論した。
「……謝るなんて、ずるいわ」
ぐっと、拳を握る。
どこかに力を込めていないと、立っていられない。
「……そうだな。俺は、ずるいんだ」
力なく笑った佐川に、言い様のない気持ちがこみ上げてくる。
ずきずきと痛むのは胸? それとも頭?
どこでもいい。どうでもいい。何でもいいから、だから。
この痛みを誰か、早く止めて。
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