0人が本棚に入れています
本棚に追加
これは少し卑怯なことなのかもしれないけれど、
この父とも母とも妹とも弟とも会うことがなかった
この5年間、
(正確には父はほんの様子見程度に、
1年に一度か二度玄関に顔を出してくるくらいはあったし、
弟もその程度ほどの連絡はあった)
私は一方で心穏やかにも過ごせていたのだった。
つまり、
その間、
お金の無心で心が掻き乱されることがなかったのである。
私はその安らぎをも感じていた。
それは今までに得たことのない安らぎで、
それはなんとも心地よく、
家族と行き来できないつらさは時としてあったものの、
それと引き換えに
穏やかさというものを得られていたというのも
また確かなのであった。
最初のコメントを投稿しよう!