《第1章・哀しい波紋》

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【2年になれば絶対誰とも一緒のクラスにはさせない】 松本さんの提案で先生側も承諾済みのせいか、私は安心して新学期の教室に入り知らない顔ばかりにホッとする。 1年よりひとつ上の2階、窓からの見張らしは良いに決まってる。始業式も終わり外の眺めを見ようと窓際に行ってみた。 『便利屋さん』 私はもう呼ばれないであろうあだ名にビクリッと反応してしまった。窓際に座っていた女子が私を見てクスクス笑っている。 『こっち見たよ、やっぱり本当にこんな変なあだ名を付けられる人がいるんだぁ』『1年時に噂で聞いてたし、あの女子とあたしら友達だもんね』 興味深そうに私を見る視線が痛く、足早に教室を出てバスに乗る。 安心は出来ないんだ?あの女子達と友達…かぁ。 家に帰るとミロが待っていて足にすり寄る姿を見て、買ってきたカリカリをあげた。 『新学期のクラスは知らない人ばかりで良かったな、美和』 夜、お父さんはビールを飲みながら私に言う。 『松本さんに感謝ね』 シーザーサラダをテーブルに置きながらお母さんも続ける。 私はあいまいな返事しか出来なかった。 松本さんも同じようにメールにしてくれてたけど、私はあの目だちめ 女子の友達が2人いた事は言えずにいた。 せっかく配慮してくれたんだもの、何もない内は黙っていよう。 次の日から授業を受け6時間終わると部活もあった。荒井先輩は卒業し3年になった先輩が部長になる。 何やら不安な予測を抱えながら新しい2年の新学期が始まった。
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