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もう10年以上も前だっけ、僕が大学に入った頃…
三島由紀夫が腹を切ったのは
確かすぐそばの自衛隊駐屯地だよな。
スゲェ。関係ないけど。
僕はコンクリートの屋上に仰向けになって
いつものように拾った新聞紙を被って
寝たふりしてたら
冷や汗とか鼻水とか涙とか混じって…
何か気持ち悪くなって
少しドキドキして怖くなってきて
新聞紙を脱いで目を開けたら
真っ青な空だったのでビックリした。
そしたら。
冬の終わりの不意の春風が
ミサイルみたいに
僕の左の耳の穴に突っ込んで、
右の穴から突き抜ける。
カス!
ソラ耳だ。
多分、三半規管あたりに穴が開いた。
へぇ、土地とか株とか上がってるんだ。
僕の軍手が掴んだままの新聞紙。
景気回復…とかの記事の下に、小さな3行求人広告。
「求む、レコード業界誌記者。経験不問」
レコードか…
ロックスターとか、なりたかったなぁ。
カッコいいもん。
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