モノを書き始めたのは…家賃2万5千円が払えなくなったから。

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ガシャン、ガシャン。 製本機は永遠に開かない踏切みたい。 バンマスは客のチップを メンバーで4等分して 僕にも2500円くれた。 今日のバイトの5時間分。 「女の意地」が歌えれば このクソみたいな製本ラインから 5時間も脱走できんだぜ。 チョロい。 貨物列車みたいに繋がって次から次に 16ページ分の「うる星やつら」が やって来る。 キュイーン、キュイーン。 空襲警報みたいな警告音が鳴り響く。 新人のバイトがヘマして ラインのどっかに マンガ何ページか詰まったらしい。 社員の兄ちゃんが帽子を吹っ飛ばして 現場に走る。 キュイーン、キュイーン。 ラインは急停止したまま。 僕は誰よりも最初に、ゆっくり 同じページを死ぬほど繰り返して 「週刊少年サンデー」が読めるし。 この世って カスだ。image=488781997.jpg
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