モノを書き始めたのは…家賃2万5千円が払えなくなったから。

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「先月までニューヨーク支社でさ」 来なきゃ良かった。 高校の同級生との飲み会。 「あ、いいよ。経費で落ちるし。 今日、オレんちに泊まりに来いよ。 タクシー券使い放題だし」 翌朝、早く 単身者用の2LDKの友達の社宅から 僕はコソコソ逃げ出す。 「今日も、バイトあるし」 印刷工場の昼休み。 昨日の同窓会の酒とか 映画「2001年宇宙の旅」で HALが壊れていくとことか 日比谷の野音でギターの弦が 切れたこととか。 仰向けに寝ころんだ僕の上空の 真っ青な大スクリーンに 極彩色の景色が流れていく。 「いるのに、まるでいないフリして 絵空事みたいに浮かんでいる …そこのキミ」 僕は新聞紙を丸めた拡声器で ソラに尋問する。
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