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お父さんは、仕事の帰りに必ず病院へ寄ってお母さんの顔を見て帰りました。
そして子供たちの事や家の話をお母さんに話していました。アルカリイオン水が体にいいと言うので毎日2リットルのペットボトルを買って持っていきました。
お母さんは、「お父さん私そんなに飲めないわよ。でもありがとう。その水のおかげで、本当に、身体が楽になったようやで。」と言うと優しく微笑みました。
お母さんの心の中は、笑顔とは反対に、嵐が吹いている様でした。
どうして私が癌になったの。
どうして…。
なんか悪いことしたかな私。
と自問自答するお母さんは、
りなと健太と一緒に早く暮らしたい。
それだけを思い続けていました。
しかし、夜になると、しんと静まりかえった病室では、お母さんの思考回路はやはり癌の事に集中するのでした。
もし、癌が残っていて、死んだらどうしよう。
子供たちを残して私は死ねないよ。
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