第4章 お母さんお姉さんの家に行く。

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「お母さん、りーちゃんなあ。ハチミツもってきたんやでぇ。お母さんの体にええから。 これ食べて、もう二度と、りーちゃんとけんちゃんから離れんといてなあ。お母さん。」 と、りなちゃんは必死にお母さんに訴えました。 「うん、うん、分かった。わかったでえ。もう離れへんでぇ。家族は一緒に居なあかんなあ。お父さん。」 お父さんも嬉しそうに「そうや、みんな一緒でないとあかん。みんな一緒やから幸せなんや。」 お姉さんの家の庭に色とりどりの、アジサイの花が、咲き乱れています。 そのあじさいの花の香りが、風に乗って、りなちゃん達の家族の鼻をくすぐります。 そして、涙でいっぱいのみんなの顔を、優しくなでてくれます。 「あんたたちと別れた時、桜の花が咲いとったのに、もうあじさいの花の季節なんやなあ。 時が立つのは、ほんまに早いなあ。これからは、笑って暮らそうな。今までよりもっと楽しく暮らそう。」 とお母さんが言うと、みんな深くうなずいていました。 お姉さんの家族も、お母さんの家族の姿を見てほほえんでいました。 やっとお母さんに幸せがやってきたのです。 これからも、いろんなことがあるでしょう。 でも、この家族はこれから、いろんな困難を乗り越える家族の絆を持つことが出来たのです。 お母さんは、アジサイを見る度にこの出来事を思い出すのでした。 そして、いつか天寿を全うした時に、この時の事を良い思い出と思えるその日までお母さんは、たくましく生きていくのです。                             終わり
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