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お父さんは、医者の言葉通りに抗がん剤治療を受け入れました。それは、お母さんを失いたくないと言う思いからでした。
抗がん剤がお母さんの身体にどれほどの苦痛を与えるかは知らないのでそういう事が言えたのでしょう。
しかし、お母さんは、抗がん剤療法を受けたくはなかったのです。
抗がん剤療法がとてもきつくお母さんの体の体力を消耗させることをお母さんは知っていました。お母さんの表情が次第に暗くなりました。
それに命の火が消えかかりそうな気がしていたのです。
お父さんは、お母さんを失いたくない一心でお母さんに抗がん剤療法をしてほしいといいました。
お父さんにとってもお母さんはかけがえのない大事な人なのです。お父さんは男だから涙は見せられないと我慢しています。
「頼むお前を愛している。お前を失いたくないんや。だから、抗がん剤療法を受けてほしい。子供たちの為にも・・・。」
その時のお父さんの目にうっすらと光るものがありました。
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