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「ちょっと、中野さん、これ見て。」
「はい?」
不意に、その先輩が後輩の女の子を呼び寄せ、私の携帯を見せる。
「これ、…ねえ。」
「ああー…はい。」
なにやら通じ合っている二人に、心もとなくなる私は向かいから口を尖らせる。
「なになにー、二人してー。」
「梅宮さん。これ、あとひと押ししたら、行けましたって。」
「へ?」
やけに真剣な顔の先輩に、キョトンと私。
隣の後輩の中野さんも、先輩と同じような顔で私を見ている。
なんだ、二人共…?
「だってこのタイキって人、梅宮さんに彼女のこと聞かれたとき、自分はその気はないって言ってたんでしょ?」
「…?はい、そうですけど。」
でも結局付き合ったってことは、それはウソだったってことだと…
「てことは、彼は梅宮さんにokサインだしてたってことですよ!」
中野さんの言葉に、またキョトン。
「でも梅宮さんが、『最近どうなの?うまくいってんの?』とか彼女とのこと聞いちゃうから。タイキ君は、ああ梅宮さんは自分に興味がないんだ、この子とうまくいって欲しいんだ、って思っちゃったんですよ。」
「…は…」
「それでまあ押し切られて、付き合ってみたはいいけど、結局うまくいかず別れちゃったと。
あああ、梅宮さん。」
「あああ、梅宮さん…。」
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