第一話

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        *  「結構趣味が合うっぽいんだよね。 今度美術展、誘ってみようかなあ。」 ある日、ユリとの帰り道。 ユリ曰く、彼は美術館とか博物館とか、そういう芸術系が好きらしい。 ちょうど、学科必修の授業に出てくる画家の美術展が東京でやるというので、そんな話でタイキと盛り上がったらしい。 ちなみにここらへんから、私も彼のことを「タイキ」と呼び捨てで呼ぶようになっていた。 ほとんどの学科の人が彼をそう呼んでいたし、私もなんだかんだあれ以来、言葉を交わすことが増えていたから、そう呼んでも自然だった。 「いいじゃん、趣味あうってなかなか貴重だよね。」 「そうだよねっ、えへへ。」 私の言葉に嬉しそうにはにかむユリは、素直に可愛いと思った。 女の子が、恋をすると可愛くなるってホントなんだな。 いいなぁ…。私も恋がしたい。
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