第一話

7/8
前へ
/74ページ
次へ
そのラインが来たとき、正直本当に驚いた。 「音響ラインでーす、よろしくー。」 変な話だが、本当に忘れていた。 私の役職、音響には、タイキもいたということを。 そのラインは、タイキが私ともうひとりの女の子を招待してできたグループラインでの発言だった。 私が音響に立候補したのは、タイキとは関係ない完全なる私の意志だし、なによりユリがタイキを好きだと知る前だ。 こんな偶然もあるものかと、少しドキッとしてしまった。 これは、ユリに協力する絶好の機会じゃないか。 なんとなくそう思ったけれど、でも具体的にどんな風に協力したらいいかなんて、実際思い浮かんでいなかった。 なんとなく、そういう関係のふたりの間に首を突っ込めているのが、ただ単純に楽しかったんだと思う。 今思えば、本当に無邪気だったと思う。 このあと、自分が気を抜いたばっかりに、どんな展開が待っているかも知らずに――
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加