試作①「何でもできる美少年の何でもしちゃうご奉仕日誌」

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 そんな僕に対してもおねえちゃんは優しいです。しばらく10分ほど僕を膝の上に座らせ、温かい毛布のように覆いかぶさっていました。  柔らかなぬくもりが肌と肉を溶かしてゆくようでした。  何か知らないけれど僕は泣きたくなりました。  本当に何でかはわかりません。  ぐっと堪えることしか出来ませんでした。好きな人の前でオトコが泣くわけにはいかないのです。  外では僕の代わりに泣くように、雪が降っていました。 「雪だね。寒いね」  寒くない、と僕は答えました。それは嘘つきの僕の本当でした。 「地球があったかくなればいいのに」  僕は真面目に思いました。おねえちゃんは寒いのが苦手です。ヒエショーというらしいです。  地球は人のせいでだんだんとあったかくなってきているそうです。  大人はそれを悪いことだ、と口を揃えて言いますが、僕はもっとあったかくなればいいのに、と願っています。  そうなればおねえちゃんは寒い思いをしないで済むからです。    お爺ちゃんの大学に、地球温暖化に関する研究をしている人はいないだろうか僕は考えてみました。  お爺ちゃんが教鞭を振るう大学は大きく、様々な人がいます。  日本中から集められた天才秀才の集まりなのです。  地球温暖化を促進させる方法ぐらい聞けば何とかなるだろうと僕は思ったのですが、 「そんなことしちゃダメよ」  おねえちゃんに却下されました。
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