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「はぁ、はぁ、」
息が上がる。
喉がカラカラになる。
心臓がキリキリ痛む。
だけど、けれども、決して足を止めてはいけない。
「っ、は、っはぁ、」
にげなきゃ、にげなきゃ、
『お前は俺から逃げられない』
それでも、にげなきゃ、
どこまで走っただろうか、見慣れない住宅街に来た。
それでも、もっと、もっと遠くへ・・・
ドサッ
「っ・・・」
足がガクガク震えて、そのまま地面に倒れ込んだ。
(動いて・・・お願い・・・)
だけど体のどこにも力が入らない。
だけどここで諦めるわけには、
体のあちこちがズキズキ痛む感覚がかろうじて意識を現実にとどめておいてくれる。
(このまま、眠るのもいいかも、)
体の痛みも降り積もった雪の冷たさも感じなくなってきた頃、ゆっくり目を閉じてそんなことを思った。
その時、さくさくと雪を踏む音がした。
(見つかった?ここまでか・・・)
捕まった・・・もう逃げられない。
(最後のチャンスだったのにな・・・)
どうせ捕まるなら雪に埋もれて死にたい。
そこで意識は途絶えた。
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