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「?どうしました?あ、心配しないでください、さっきのことは怒ってないですよ」
そう言いながら微笑む、確かに少し歪な感じもするが、
(きれいな笑顔じゃないか!!)
「えっと、副会長・・・ですか?」
「はい。転入生を理事長室まで案内するように言われています」
「名前を教えてもらっても?」
「勿論です。ワタシは楼韻ツカサといいます。」
俺はもう隠す気もなく、完全に本気で行く。
「ツカサ・・・さん」
「っ、」
普段名前を呼ばれることがないのか、それとも耳元で囁いたのが効いたのか、少し頬を染める。
「って呼んでも?」
「え、えぇ、いいですよ」
「じゃあ、ツカサさん」
「っ!・・・なんですか?」
なるほど、プライドが高いのか、それとも無意識か、ツカサさんは悟られないように上手く逃げようとする。
「いいえ、なんでもないです。えーっと、案内をお願いしても?」
「は、はい。ではついてきてください」
いつもの調子を取り戻したのか、何だもったいない。
と、思ったのだが、しばらく歩いてエレベーターにはいるとき、なにもないと思うのだが、どういう訳かツカサさんが前につんのめって倒れそうにならる。
(きらりん、チャンス到来)
ツカサさんのすぐ後ろを歩いていた俺は倒れそうになったツカサさんの腕を掴んで自分の方に引き寄せた。すかさずエレベーターのボタンを押す。
無論、理事長室の階はツカサさんに聞いておいたので知っている。
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