怯えた犬

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その日はものすごく寒い日だった。 俺は早い時間から布団に潜り込みぬくぬくとしながら眠りについた。 そのせいか、朝方の4時頃に目が覚めてしまい、こんな微妙な時間に寝るわけにもいかず、近くのコンビニにでも行くことにした。 コンビニから出て息をはぁっと吐き出してみる。 白くなった息が上に登っていく。吐いた分だけ息を吸い込む。 「・・・さむ」 外気にさらされている耳に冷たい風があたってピリピリ痛む。 「・・・雪か・・・」 ふと上を見るとゆらゆら雪が降ってきていた。 早く帰ろう。雪が落ちてうっすら膜を作っている地面を踏み進んだ。 「・・・?」 住んでいるマンションの近くまで来た時、地面に白い塊が落ちているのが見えた。 不審に思って近づいてみる。 すぐ近くに来た時、それがものじゃないと知る。 「・・・にん・・・げん・・・?」 目を疑った。 なぜならこの真冬のなか真っ白いカッターシャツ一枚で倒れていたから。 白いカッターシャツには同じような白さの雪が降り積もっていた。 積もった雪からうっすら金色が見える。アレが頭だろうか? (死んでる・・・?) 駆け足で寄り添って抱え込んでみる。 積もっていた雪をなるだけ優しく払い落とす。 (よかった、息はしている) ともかく暖めないと。 咄嗟に連れて帰ろうと思い渡る自分に若干驚きつつも急いでマンションに向かった。 この子供(年齢は分からないが、おそらくは子供だろうと思う)を抱えたとき、その軽さと冷たさに冷や汗が出た。まるで生きていないかのような冷たさだった。 それにとても軽い。 子供というのはこんなに軽かっただろうか・・・?
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