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「どうも、転入生です」
「お、来ましたか、って、」
「ん?・・・あっ」
理事長と目があった瞬間2人の時は止まった。
(げろげろ~!!むかし付き合ってたやつだー!!)
うげぇっと顔を歪ませると、相手が青筋を立てた。
「てめぇどの面下げて・・・」
「あー暴力はかんべ、うおおおおおあっぶね!!」
ガシャーン!!
飛んできたのはなんと花瓶で、避けたせいで壁にあたって砕け散った。
「おいおい、いきなりハードだな、乱暴な奴は嫌われるぜ」
「っ!!う、うるさいな、どうせ嫌われてるじゃないか」
「嫌ってない」
「じゃあなんで、捨てたんだよ!!」
堪えきれなくなったのか泣きながら言う理事長に俺はため息を付いた。盛大に。
「捨てたも何も、俺は元からそういうやつだって知ってただろ?」
「・・・・」
黙り込んだ理事長に歩み寄る。
顔を背けた理事長の肩を軽く掴んだ。
見上げた理事長の目とかち合う。
「嫌いじゃないし、飽きてもない、むしろ好きだよ」
俺はそう言ってちゅっと軽くくちづけをした。
そうして放心状態になっている理事長の手から黒いカードを抜き取った。
(これが王道学園のブラックカードか・・・?)
多分ただの転入生の俺には与えられないカードだろうけど、
(らっきーこっそりもらってこ♪)
おいおい、いいのかそれで。
「あ、」
扉の前まで行った時、後ろで理事長の呻くような声がした。
「俺は、独占したくもないし、されたくもない、気楽に生きたいんだ、」
俺はそう言って振り向きざま、「ごめん」と軽く微笑みながら言った。
理事長はなにか言いたそうにしていたが、俺は待たずに理事長室を後にした。
「ふぅ、」
つっと息を吐いた。
(まさか理事長が彼だったとは・・・)
「お話は済みましたか?」
「おわぁ!!!」
「あ、すいません!驚かせて!」
「い、いいいえ、」
びびったーツカサさん居たのか。
(待っててくれたのかな、)
ちょっと情緒不安定になっていた俺は思わずツカサさんを抱きしめた。
「え!?」
「あ、すいません」
と、言いつつ離す気はないのだが。
「ど、どうかしたんですか?」
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