怯えた犬

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(エレベーターこねぇ) なかなか降りてこないエレベーターが焦れったくてたまらない。腕の中に瀕死の子供がいることで余計に気が競る。 「・・・・・」 エレベーターってこんなに遅かったっけ? (えぇい!じれったい!) 最初からそうすればよかった、俺はエレベーターは諦めて階段に向かった。 階段を全速力で駆け上がる。まじでじれったい。 こんな所で最上階の不憫さを感じるとは・・・ (まぁ、普段から不憫だ不憫だとは思っていたけど、) そんなこんなで家の中まで入った。 家の中に連れて帰ったはいいが、 「どうすれば・・・」 温める・・・? 何で・・・?毛布? 胸に抱きながらリビングでどうしようかと考えていたら腕の中の子が身動ぎした。 「?」 (震えてる・・・?) カタカタと小刻みな振動が腕から伝わってくる。 そこで俺はこの子供が生きているのを実感して安堵する。 顔は青白くて生気がない。ぺたっと肌に触れてみるとおどろくほど冷たかった。 そこで俺は決心した。 (よし、) 「脱ぎます」 俺、脱ぐ
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