怯えた犬

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誰かの悲鳴を聞いてムクリと起き上がった。 まだ開き切らないまぶたを懸命に上げる。 すると素っ裸で震えながら壁の隅に固まっている少年が・・・。 あれ・・・、俺・・・・。 徐々に寝ぼけていた頭が覚醒していく。 「思い出した!」 ビクッ! ふむ、この少年は俺の一挙一動に怯えるようだ。 しかし少年は裸、まぁ俺も裸だが、暖房がきいているとはいえきっと寒いはず。 俺はそう思い、近くにあった毛布を広げながら少年に近寄った。 「あああ!!こないでぇっ!!」 すごい怯えようだ。 それでも俺は気にする素振りもなく近寄る。 毛布で包もうとすると暴れだした。 体格の差をいいことに俺は無理やり毛布で包む。 こんな時思う、でかい男でよかった。 「よーしよしよし、」 「ぎゃああああうぁあああ!!」 「よーしよしよし、」 ムツゴロウさんよろしく、よしよし言ってみる。 毛布でグルグルにくるんでぎゅっとしていると、諦めたのか暴れるのはやめた。 でも始終怯えているようで、がくがくと震えているのが伝わってくる。 ふと、鼻がムズムズと・・・ 「へっくしゅっ!!」 びく!! 「サムっ」 そういえば俺も素っ裸なんだった。 俺はそれを思い出し、グルグルにマイてある毛布を一回剥ぎ取る。 「!!」 驚いている少年にぎゅむっと抱きついて再び毛布を巻き直した。 直接少年の肌に触れる俺の肌に敏感に反応し、少年は暴れまくった。 しかし体格の差をry 「まぁまぁまぁまぁ・・・・ひとまず寝よ・・・う・・・」 俺はしっかり抱きついたまま眠った。
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