「海の歌」

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ギターの音を向くと ギターを抱えた 海パンを履いて わらぼうしをかぶった 半裸の男がいた 男は いやに爽やかな笑顔を 浮かべながら 「きみぃ、未成年が 煙草すっちゃいかんだろ」 俺は皮肉気な笑みをうかべると 「あからさまに怪しい 親父に言われたくねぇよ」 俺は煙草を 吸いおわると海に投げ捨てた 男はその様子をみると ひょいと軽やかに飛び出し その煙草を手でつかんだ! 「きみぃ、海は大事にしなきゃいかんだろ」 男はひょうきんな様子で 今度は陽気な音楽を かなではじめた 俺はこの得体の知れない男に 軽い興味をひかれながらも めんどくさい気持ちも あり 黙って去ろうとしたが 「まぁまちたまえよ 神崎悠斗くん」 俺は思い切り驚いて ふりむくと ひょうきんな様子で また男は笑った 「はは、たまには占いも 信じてみるもんだね 海の声と呼ばれる場所へ おもむけば捜し人に あえるなんてね」 男は笑いながら 海パンのポケットから 黒い警察手帳を取り出した 「私の名前は神凪楓 まぁ気付いてると思うが 警察だ そして・・ 君の母さんの実の弟でも ある 会うのははじめてだな」 人魚岩の美しい歌声が 響くーーーー そういえば もう一つ伝説があった 海の声を聞いたものは 逃れられない過去に かならず 遭遇するーーー 俺は再び あの日の記憶に 向かい合うのかーーーー
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