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「ーーっしぃ、後は名前を…」
今朝から描いていた絵に最後の仕上げをして、一歩下がって全景を確認する。
うん、上出来だ。
「これなら絵画師でも食っていけたかな?」
誰か聞いてる訳でもないのにそんな軽口が衝いて出る。
あぁ、どうして何かを作り上げた時ってのは、こうもテンション上がりっぱなしになるんだろうな。
局長付きの護衛とは言ったものの、ターセルは呼び出しが掛かる以外は滅多に出掛ける事がない。
日がな一日うす暗い研究室に籠もってばかりだ。
おかげで3日交代で休養がとれる俺はこうして悠長に絵なんか描いてられるわけだ。
それで給料は猟鋭の平均より頭一つ突き出てるんだから、真面目にやるのが馬鹿らしく思えてくる。
グウゥ~…
あー…
そういや、絵に夢中で朝から何も食ってないな。
そうだ、せっかく本部に帰って来たんだし、レニアちゃんの顔でも拝みに行くか、そしてダメ元でランチに誘うのだ!
…待て待てロイド、これからレディをデートに誘うってのに、顔に絵を具付けたまま出掛けるつもりか?
先ずは湯浴みしてこざっぱりしないとなーー
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