718人が本棚に入れています
本棚に追加
デンゴンカラスを呼んでから救助の船がくるまでの間、俺達の船はただ波に任せるまま揺られていく。
ふと、陽の光を反射して赤々と輝くものが止まる。
ドラゴンブレスーー
沈みゆく船の、灰の積もった残骸に浮かぶ魔性の銃。
そうだ、アレを回収しないと…
俺がその旨を伝えると、船長は手漕ぎで救命艇を残骸に近付けた。
さて、と…体中が怠いが、これも任務だ。
俺の手で回収しないとな…
船の残骸に足を付けると、歩いても沈まない程度の浮力は残っているらしい。
といっても、軋む音が徐々に大きくなってきてるから、ここももうすぐ海に呑まれるだろう。
早く回収して引き上げねーと…
「うわっ…!」
ドラゴンブレスに触れようとした途端、積もっていた灰が俺の腕にまとわりついてきた。
いや、違う…!
これは、なんてことだ!
「渡さない…俺…ちか…ら…」
風に流される真っ白な砂のように形を失い、グズグズと崩れてしまって今では見る影もないが…
それは正真正銘、ゼカードさん“だった”ものだ。
最初のコメントを投稿しよう!