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「ゼ…」
ゼカードさんの名前を口にするより先に、俺の腕を掴んでいた部分、おそらくは腕だと思われるが、そこが根元から崩れ落ちた。
「う…わあぁ!?」
同時に、足場が急激に揺れ出したかと思えば、俺はまた海に放り出されていた。
必死に救命艇をよじ登ると、ゼカードさんの居た場所が沈んでいく所だった。
…灰のようになってしまったゼカードさんの体は、海に溶けて無くなっていく。
あれが…力に溺れた者の末路…
結局、死に際まであの人の心は捉えられたままだった。
『力』という、魔性の言葉にーー
ドラゴンブレス…
これは人が手にする力の範疇(はんちゅう)を超えている。
俺は、新たな心臓を得たかのように力強く脈動する銃を見つめて…
「!おいっ何を…」
赤い短銃を、海に放った。
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