NextShot【Test】

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ーー後日、俺が歩けるまでに回復すると、直ぐにもターセルの使者を名乗る男から開発局に出頭せよとの旨が伝えられた。 まるでどこかで見ていたかのようなタイミングだ。 意地を張って言っても、とても小康とすら呼べない状態だったが、あの男がこちらの都合を考慮してくれるなんて甘い期待が持てる筈もなく、俺は魔獣に遭遇しない事を祈って開発局へと赴いた。 「やぁやぁやぁ。初任務早々、大変な目に遭ったらしいね、ご苦労様」 三白眼の試験官を隣に置き、先ずターセルは白々しくも労いの言葉を投げ掛ける。 「しかし報告を聞いて耳を疑ったよ。悪漢から護衛対象を守りきったのに、自分でドラゴンブレスを放棄したんだって?どうしてそんな事をしたのかな?」 口調は穏やかながらも、分厚いレンズの向こうで覗く切れ長の目は俺を具(つぶさ)に値踏みしていた。 ここで答えを間違えれば仕舞い、だな。
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