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「どうして、と言われましても、自分は任務を忠実に熟したまでです」
「うん?どういう意味かな?」
ターセルは訝しげに首を捻る。
“そう”言ったのはアンタなんだぜ。
「局長はあれほどの魔法を個人で所有するのは危険だと仰りました。そして、間近でその威力を見た自分も同じ感想を持ちました」
ターセルは黙ったまま俺の話に耳を傾けていた。
「…ですので、決して誰にも触れられない場所に“安置”してきたのです」
最後まで俺の話を聞いたターセルは、無言を貫いたまま。
かと思えば、不意に吹き出し大層おかしそうに腹を抱えた。
「ククク!なるほどなるほど、確かにアゴスの生息する海の底になんて取りに行ける筈ないよねぇ!ヒヒッヒヒッ」
…そうさ、所詮はただの揚げ足取り、子供騙しにもなりはしない。
でも、そんなものは些細な問題なんだろ?
アンタにとって大事なのは、決められたルールを守る忠誠心ではなく、実行する能力の筈だ。
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