NextShot【Test】

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「…それにしても、新人とはいえ猟鋭の情報は機密扱いなのに、一体どこから情報が漏れたんだろうねぇ?」 「全くです。しかしおかげで実力を示す機会が頂けた事は幸いでした」 などと、ターセルの猿芝居に付き合ってやると、コイツは虫歯だらけのまっ黒な口を開いて不気味に笑う。 「…じゃあ。君には期待してるからね、ロイド君」 「光栄です」 扉が閉めるまで俺は深々と頭を下げ、退室した。 「局長!いいのですかっ!?奴は任務に失敗したのですよ!」 「んー?別に失敗ではないんじゃない?表向きはちゃんとこなした訳だし、能力的には使えそうだ」 なんてことはない話だ。 あの短絡的なピストリオとかいう男が、協会の機密を、増してターセルの息が掛かった情報を出し抜くなんて真似が出来る筈ないんだ。 「それに、ドラゴンブレスに興味を持ったのは、どうやってあのパワーをあそこまでコンパクトにしてるのかって事だけだったしね。不格好ならあの程度の破壊力、簡単に引き出せるし」 つまり、情報は意図的に漏らされたって事だ。 「それにしてもロイド君は拾い物だったなぁ。実力は問題なし、機転も利くみたいだし、色々と手伝って貰おっと…いつまであの眼に宿った正義感が保つか見物だなぁ、ヒヒヒヒヒ…」 俺とピストリオを対峙させ、実力を計る。 それが真の任務…いや、試験だったんだろう。 「…しかし、キミは失態だねぇ。目の前でロイド君がドラゴンブレスを放るの黙って見てたなんて。審査対象がおかしい動きをした場合は問答無用で取り押さえろって言っておいた筈だよね?」 「で、ですが!まさか自分で護衛対象を手放すとは夢にもーー」 「言い訳は聞かないし、失敗を許す気もないよ…ところで、キミ。なんて名前だったっけ?まぁどうでもいいや」
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