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この日も俺は、ターセルに呼ばれて奴の研究室に赴いた。
「やあやあやあロイド君、最近の活躍ぶりは耳にしてるよ。いやあ上司としては鼻が高い限りだねぇ」
「…恐縮です」
コイツの心にもない労いを流すのにも随分と慣れたものだ。
少し前まではターセルが何か口にする度に眉間に力が入っていたが、我ながら大人になったものだ。
…いや、それとも単に感情が死んだだけか。
「そうそうそう。それで今日呼んだのは、先日の件でキミの功績を讃えて部下を付けようと思ってね」
ターセルが指を鳴らすと、部屋で待機していた数名が同時に一歩前に出る。
「おめでとう。その年齢で隊を率いるなんて異例の大出世だねぇ」
「宜しくお願いします、ロイド殿!」
…なるほど、つまりは監視か。
そういえばモリビトの一件で、ターセルの実験がとあるハンターに妨害されたって話を聞いた。
誰がやったのか知らないが、そのせいで影でコソコソやっていた俺がとばっちりを受けたわけだ。
全く迷惑な話だ。
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