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「実は、お恥ずかしい限りの話なんだけど、竜鱗商会にもはした金で内部の情報を売るような連中がいるらしくてね、残念ながらウチが協力すれば君の画策は瞬く間にターセルの耳に入ってしまうだろうね」
!そうか、考えてもみれば協会と商会はこれだけ密な関係にあるんだ。
用意周到なターセルのことだ、何匹か飼い犬を紛れさせていてもおかしくない…迂闊だった。
「なに、心配には及ばないさ」
「え?」
早くも計画が頓挫したかに思えたが、フィリップさんは俺に道を示してくれた。
「僕は君に協力出来ないけど、君の力になってくれる人なら紹介出来る。エリエという街は知っているかな?」
知らないと伝えると、フィリップさんはエリエについて話してくれた。
金属加工では名の知れた街らしく、竜鱗商会とは縁深い場所のようだ。
その街で一番の工房は自分達の腕以外信じない職人気質の集まりで、いかにターセルといえど付け入る隙はないだろうと、フィリップさんは会話を交えながら手早く紹介状を認めてくれた。
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