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クリスマスケーキなんかに飾り付けられているサンタクロースの形をした砂糖菓子とでも言うのだろうか、アレだ。そのサンタクロースからは彩未と同じ甘い匂いがした。
彩未はそのサンタクロースを僕の手にある箱の中のチーズケーキの上にちょこんと乗せ、「これで今年はいっちゃんのところにサンタさんが来るからね」と言って、また笑う。
そうだった──僕のせいで彩未がサンタクロースの砂糖菓子を食べた人のところにサンタクロースが来ると信じていることを思い出した。
二年前、彩未と妹の三人でクリスマスパーティーをした時にちょっとしたイタズラ心で、切り分けたクリスマスケーキの僕のところにサンタクロースを乗せ、彩未にそう言ったのだった。
当然、大泣きした彩未にサンタクロースは奪われ、僕と妹からのクリスマスプレゼントは無事に彩未に送られたのだけど、聞いた話によれば昨年に妹の友人家族たちと行ったクリスマスパーティーでも大泣きして他の子供たちからサンタクロースの砂糖菓子を勝ち取ったとか。
「彩未もちゃんといっちゃんに優しくするから。いっちゃん、早く元気になってね」
甘い匂いを漂わせる彩未が、僕の足に抱きついた。
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