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 それから間もなくして、妹が彩未を迎えに来た。 「こんな時間に勝手に外に出て来て何をしてるの!いっちゃんのところには来ちゃダメでしょ!いっちゃんがしんどくなるって言ってるでしょ!」  彩未の顔を見るなり叱りつける妹は、少し汗ばんでいる。よほど急いで駆け付けたのだろう。 「ちゃんと手紙書いといたよ」と、彩未は悪びれる様子もない。相変わらず僕の足にくっついたままでいる。 「こんなもん、読めるかっ!」と妹は、折り紙に何やら書かれたものを彩未に向けて突き出す。ちらっとしか見えなかったが、辛うじて【いっちゃん】の文字だけが読み取れた。おそらくはそれで行き先が僕の所だとわかったのだろう。 「母ちゃん!聞いて聞いて!」母親の心配をよそに彩未は僕の足から離れ、跳ねるようにはしゃぎながら僕の周りをくるくると回り始めた。  眉間にはシワを寄せたままではあったが、やれやれと呆れた様子で妹は「なに?どうしたの?」と彩未の言葉に耳を傾ける。 「いっちゃん、笑った!ねっ?笑ったよね?」  満面の笑みで僕を見上げる彩未に、僕が頷きながら「ねっ」と答えると、「ほらっ!」と彩未は得意気な表情を妹に向けた。  妹は少し驚いたような顔で僕を見たが、すぐに「そっか、良かった」と笑った。その視線は彩未ではなく、僕に向けられたままだったけど。
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