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「もっといっちゃんとお話したい」と何度も妹にせがんでいた彩未だったけど、とうとう本気で叱られてしまい、最後には妹の脇に抱えられながら連れ帰られてしまった。  一階に降りて妹の自転車に乗せられた頃にはすっかり諦めてしまって大人しくなってはいたけれど、それでも何度も三階から見送る僕の方を振り返っては「バイバーイ」と手を降って笑顔を見せてくれていた。  妹と彩未の姿が見えなくなるまで僕はずっと部屋には戻らず、彼女たちに手を振り続けていた。  いつもなら一人になることで気持ちが楽になり、ほっとするはずなのに、今日は違った。いや、ほっとはしていたのだけれど、それだけでなく、少し寂しいだとか名残惜しいような気がしていた。  こんなにも誰かのことを考えるのはどれだけぶりだろうか。彩未に貰ったケーキをぼんやりと眺めながら、僕は一人きりの部屋の中で考えていた。  よく見ると、砂糖菓子のサンタクロースの帽子の先が齧られたようにして少しだけ無くなっていた。  彩未が食べたのだろうかと思うと、ふっと鼻の奥から息がもれて、口元が緩むのがわかった。  もし、そうだったとしたら彩未のところにもサンタクロースからのプレゼントがちゃんと届くはずだ。  気が付けば、僕はスマートフォンで彩未の好きそうなものを検索していた。
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