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「大好き」と紡ぐジンの言葉に果てれば、「今日は終わり」とベッドに寝かされる。躯のいたるところが体液でベトベトであるが、犬のようにジンが躯を舐めてくる。ぼんやりとした思考にぴちゃぴちゃ水音が響くだけ。
何度キスをされても、何回肌を重ねても、意味がない。どうせ彼女をつくるに決まってるんだ。オレに見せつけるように。
対抗するようにオレが彼女をつくれば、みんなジンに寝取られていく。ジンのテクに落ち、オレは下手だと笑われていた。虚しい。虚しすぎる。
「お前なんか嫌いだ」
「おれが好きだから大丈夫だよ」
泣きたいのを堪えて睨んでも、へらりと笑う顔が上がるだけ。拘束を解いた指先に舌を這わせて。
「まだ付き合う気はない?」
「ない」
「だったらおれは、千穂ちゃんにもっと酷いことをしないといけなくなるよ? 媚薬を盛って足腰立たなくなるまで犯すけど、千穂ちゃんが落ちないから悪いんだ」
「断る」
「ならいい加減落ちて。それとも、躯だけの関係でいたいの?」
「そうじゃない」
「そうじゃないなら、なにが不満?」
「千穂ちゃん」とオレの下唇を食んだジンは「答えて」と続ける。「早く」と紡がれた唇が頬に落ちた。
ジンは解らないのか。付き合ってしまえば、終わるかもしれないのに。だから怖いんだ。
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