第1章

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  「…詩季、大丈夫? いつものごとく、顔がガチガチに固いわよ?」 気遣わしげに僕の顔を覗いてくる母さん。 ごめんね、毎回やってるのに、 毎回毎回緊張する、とってもチキンな僕で…。 でも、そんな心配そうな顔しないでよ。 「大丈夫、だよ。 いつも言ってるでしょう? 僕は、お花が好きだから続けてるんだから…そんなに申し訳なさそうな顔しないで?ね?」 母さんには負けるけど、僕の中で…努めて柔らかく笑った笑顔を向ける。 おばあ様のお願いだもん…。 こういうパフォーマンスみたいなのは、やりたい訳ではないけど、逆を言えば、別にどうしてもやりたくないって訳でもないし…。 嫌々じゃなくて、おばあ様が喜ぶなら、しても良いかなって思うからしてるんだしね。 ただ、僕のメンタルが弱くて…チキンで、ビクビク緊張してしまうだけだし…。 「あ、そろそろ行かないと…。 じゃあ…いつもみたいに、母さんも見えるところでちゃんと見ててね?」 知ってる人の顔が見えるだけで、凄く安心するから…なんて、恥ずかしくて言えないけど…。 優しく柔らかく微笑む母さんには、なんだか全部バレちゃってる気がする…。 …ん、とりあえず… 気持ちを切り替えて、しっかりしなきゃ! 笑顔で、集まった人達の前に出て…。 華を生けて…。 よし、頑張るぞー!  
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