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「…詩季、大丈夫?
いつものごとく、顔がガチガチに固いわよ?」
気遣わしげに僕の顔を覗いてくる母さん。
ごめんね、毎回やってるのに、
毎回毎回緊張する、とってもチキンな僕で…。
でも、そんな心配そうな顔しないでよ。
「大丈夫、だよ。
いつも言ってるでしょう?
僕は、お花が好きだから続けてるんだから…そんなに申し訳なさそうな顔しないで?ね?」
母さんには負けるけど、僕の中で…努めて柔らかく笑った笑顔を向ける。
おばあ様のお願いだもん…。
こういうパフォーマンスみたいなのは、やりたい訳ではないけど、逆を言えば、別にどうしてもやりたくないって訳でもないし…。
嫌々じゃなくて、おばあ様が喜ぶなら、しても良いかなって思うからしてるんだしね。
ただ、僕のメンタルが弱くて…チキンで、ビクビク緊張してしまうだけだし…。
「あ、そろそろ行かないと…。
じゃあ…いつもみたいに、母さんも見えるところでちゃんと見ててね?」
知ってる人の顔が見えるだけで、凄く安心するから…なんて、恥ずかしくて言えないけど…。
優しく柔らかく微笑む母さんには、なんだか全部バレちゃってる気がする…。
…ん、とりあえず…
気持ちを切り替えて、しっかりしなきゃ!
笑顔で、集まった人達の前に出て…。
華を生けて…。
よし、頑張るぞー!
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