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私立真心女学園。
そこがおれの通っている学校の名だ。
おれの名は緒方真白。十七歳男。何故、男のおれが女学園に通っているのかというと――それには悲しい事情があるのだ。そう、事情が。
それは二年前まで遡る。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「真白、あんた女の子に興味ない?」
「・・・・・・はぁ?」
緒方真白、中三の冬。義理の姉にして公私共に認める天才、ミルク姉さんはこたつの中でくつろぎながら年末特有の特番を眺めるおれに言ってきた。
そして、訝しげなおれにミルク姉さんは「もう~」とふくれっ面をしながら
「だから、真白は女の子に興味ないの?」
「いや、あるかないかで言われたらそりゃあるよ」
「そっか。じゃあさ――」
「――うちの学校に進学しなさい」
「っ!?」
あまりにも唐突な提案におれは飲んでたお茶を吹き出した。
だって、ミルク姉さんの学校って女学園、だぞ。
【私立真心女学園】。この義理の姉が理事長として管理運営している女学園は地元でも有名な女学園だ。そんなとこに進学しろ? おれは男だぞ?
「ほら、真白も言ってたじゃない、男子校は嫌だって」
「そ、それはそうだけど・・・・・・」
確かにミルク姉さんの言ってるとおり、おれは今通っている男子校が正直嫌いだ。
これには事情があるのだが・・・・・・そんなおれの心境を察したか、ミルク姉さんはニヤリとほくそ笑みながら
「あんたは中性的な顔してるし、大丈夫だって♪」
「・・・・・・っ。それは嫌味か?」
「え? あ、ごめんごめん。そんなんじゃないよ。ごめんね、気にしてるんだったよね」
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