第3章

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どうして。 絞り出した声は 泣いていた。 少年から発せられた言葉。 それは少女の心には重すぎた。 少女の脳は 思考は 狂い出した。 考えることをやめてしまった。 少女は少年の首に掴みかかった。 少年に教えてもらったことのないやり方で 少年を壊そうとした。 しかし少女の手は空をかき 少年を壊すことはできなかった。 それでも少年は 無機質な目で 少女を見つめていた。 無機物を見るような目で 少女を見つめていた。 少女がいくら空中をひっかいても 少年の姿は乱れなかった。 少女は声にならない声で叫んでいた。
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