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少年が、少女の腕を掴んだ。
実体はないはずなのに、どうして?
少年は暴れる少女を地面に押し倒した。
そして、じっとまっすぐ少女の瞳の奥を見つめた。
「君は逃げているだけなんだよ。
知らないフリをしているだけ。
そうでしょ、君は誰よりも…
……僕よりも、知っていたはずだろ」
少年はゆっくりと言葉をつむいだ。
知っていた、私が?
「そう。君は知っていたんだよ。
僕のことも、君自身のことも。
ずっとずうっと、前からね」
少女は少年の瞳の奥を
じっと見つめた。
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