第1章

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少女は何ひとつ、自分の事を知らなかった。 自分の名前も 自分の好きなものも 自分のすべきことも。 そして少女は何ひとつ 誰の事も知らなかった。 母の事も 友人の事も 世界の事も。 何ひとつ知らなければ 誰にも教えられることもなかった。 誰かに 「名前は?」 「好きなものは?」と問われても ただ「わからない」と答えることしかできなかった。 そんな少女が気に入らず 誰もがすぐに去っていった。 少女は、何故ひとりぼっちになってしまったのかわからなかった。 自分がひとりぼっちだということすら 知らなかった。
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