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少女は何ひとつ、自分の事を知らなかった。
自分の名前も
自分の好きなものも
自分のすべきことも。
そして少女は何ひとつ
誰の事も知らなかった。
母の事も
友人の事も
世界の事も。
何ひとつ知らなければ
誰にも教えられることもなかった。
誰かに
「名前は?」
「好きなものは?」と問われても
ただ「わからない」と答えることしかできなかった。
そんな少女が気に入らず
誰もがすぐに去っていった。
少女は、何故ひとりぼっちになってしまったのかわからなかった。
自分がひとりぼっちだということすら
知らなかった。
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