第1章

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その次の日から 少年は少女に会いに来なくなった。 少女はその日から ただぼうっと過ごしていた。 そうするしか なかった。 手足の動かし方は 少年が教えてくれた。 上手な言葉の繋ぎ方も 少年に教えてもらった。 そのお陰で 少女は立ち上がり歩きまわることもできたし 喉を震わせて誰かと話すこともできた。 しかし少女は、何をするということもなく ただ ぼうっと過ごしていた。 少女は何もしない日々を過ごした。 いつか何事もなかったかのように少年が現れることを健気に信じて。 しかし少年は、待てども待てども少女の前に現れることはなかった。
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