第2章

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少女は足を止めた。 必死に、目をこらして 光を 少年を 探した。 少女の目には涙が溜まっていた。 少年の名前を呼ぶことができたなら 少しはその感情が和らいだかもしれなかった。 ぽろぽろと涙がこぼれた。 少女はうずくまり 耳をふさぎ 少年の姿をそうぞうした。 強く、強く 覚えているままの少年の姿を。 「やあ」 少年の声を聞いた。 きつく耳をふさいでいたのに? 少女は目の前に佇む少年の姿に おどろき よろこんだ。 ___やあ。 涙の滲む声で少女は言った。 少女は立ち上がり 少年を抱き寄せようと 腕を伸ばした。 しかしその手は 少年を当然のようにすり抜けた。 少年は何事もないかのように微笑んでいた。 その微笑みはあの少年のそのものなのに どうして 触れることができないの? そもそも少女は 少年に触れたことが 一度でもあっただろうか? なかった。 今の今まで、一度も。
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