サンタクロームXマス

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この寒い中コートも着ないで窓越しに佇む無表情なグレーの制服… 「なんでうち知って… ってえええーっ!!こ、ここここ2階…っ!?」 逞しい角を誇らしげに揺らす二頭のトナカイ。 溢れかえりそうなくらいたくさんのプレゼントを乗せた木製のソリ。 そう。だって彼はあろうことかあの絵本でしか見たことのない サンタクロースのソリの上に悠然と立っていたんだから―― 「ここからは静かに聞け。 今からあんたに3択問題を出す。正解したら、俺の言う事何でも聞いてよ。」 「は!?それ逆じゃな…」 「拒否権は認められない。 今から言う3つの中で、俺が今一番言いたいセリフがどれか当ててみて。 1、クリスマスなんてバカげてる 2、サンタなんていない 3 俺はあんたに惚れてて あんたも俺に惚れてる」 「ちょ…っ!いい加減にし…」 反射的に開け放った窓越しに抱き締められた体が宙に浮く。 次の瞬間、私はパジャマ姿のまま暖かいブランケットに包まれて 空を駆けるソリの助手席に座らされていた。
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