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とはいえいくらなんでも、ほとんど初対面の相手に助けを求めるのもどうかと思うし…
えぇい!考えてる暇があるなら先に進むべし!
自分自身に言い聞かせながら、気合いを入れ直した刹那
「ねぇ駅員呼んできたから下ろしたら。」
やっとの思いで振り返ると、さっき素通りしたはずの彼が、駅員数名を引き連れてだるそうに立っていた。
なにこの人いいヤツ!
「あ、ありがとうございます。」
「いや
色気の無いパンツと脚丸見えだから、周りが迷惑かと思って。じゃ。」
「な…なななななっ!!」
全然気付いていなかったけど
私の制服のスカートの後ろ姿は、見事なまでにコートごと裏返っていた…
大慌てで制服を直す私に向かって何度もお辞儀をするお婆さんは、駅員の背中でようやく安心した表情を浮かべていた。
てか
前言撤回だチクショーッ!!
「ちょっ…ちょっと待ったああっ!
いいい色気が無くて悪ぅございましたね!
あ、あの本っ私のだから!
ホラあの時ここで私がぶつかっちゃって落としたでしょ!?同じカバーの!」
去りかけていた背中が、私の奇声に面倒そうに振り返る。
「あぁ…あれ。
そういえばあんただったっけ。
本まで同じとか偶然だよな。
で、なんであんたのって分かるわけ?」
改めて校則を疑いたくなるような、無造作に伸びた明るいアッシュグレーの柔らかそうな髪。
感情の読めないダークブラウンの瞳を、深く刻まれた二重まぶたと長いまつげが形良く包んでいる。
異性の私でも嫉妬しそうになるくらい、嫌みなほど均整の取れた目鼻立ち。
どこか日本人離れした容姿とか、そうそうお目にかかれないイケメンかもしれな
いじゃないじゃまいか!
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