サンタクロームXマス

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「そっそうアレ、私のなんですよ! 「マッスグドライブ」初回限定サイン入りなの! あなたのには無かったでしょ!?」 恥ずかしさと疲労感がごちゃ混ぜになって意味が分からない思考回路は、完全に混線状態だった。 震える肩で息をしながら噛みつく私に、無表情男は一瞬表情を曇らせたものの またすぐに感情を消し去ると、首だけをそれっぽく傾げている。 精巧なロボットかこいつは。 「あぁあれか。そういえばそんなのは無かったかもね。 でも返しちゃったから知らない。」 「は!?」 「だからアレ、友達の借り物だから返したよ。 ついでにソイツ、前からあの作者のファンだから、気づいてたら絶対返さないと思うけど。」 そんなのって…アリ!? 怒りよりも驚きの数値が軽くキャパオーバーなんですけど… ダークグレーの詰め襟を指先で窮屈そうに緩めるヤツに向かって、私は尚も吠えたてた。 「そん…っ!そんなの気付いてるか分かんないじゃまいか! とにかく期限は一週間!間違いなく返してよね! 私は向井…向井って言います!ホラ、あなたの名前!」 「なんだかなぁ。 人助けしたのに詫び入れるとか、割に合わないよね。」 「それとこれとは別でしょうが! あんた罪悪感とか無いわけ!?」 「はいはい。 俺は聖。ひじりって呼んでね。 よろしく。『むかい』」 憎まれ口にもスマイルすら無い無表情男。でもイケメン…残念なイケメン。 否!騙されんな私!
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