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「と、とにかく!
クリスマスなんて異教徒の持ち込んだ戯れの成れの果てじゃんっ
元々私には関係ないんだもんだ!」
「てか、あんた仏教徒でもないでしょーが。
まぁ言うだけ無駄だとは思ってるけどさ。
後で後悔だけはしないようにね。」
友人の冷めきった視線にも馴れすぎてしまった私は、もうとっくに手遅れなんだと思う。
だって、そう思い込ませる以外に救われる方法なんて、私には思い付かない。
その日はもう誰とも言葉を交わしたくなくて、私は帰り道を足早に歩いた。
すっかりクリスマスカラーに色付いた街が、喧騒を緩やかにかき混ぜる。
やっぱり私には許されていないのかもしれない。
プレゼントをねだることも。恋をすることも。
そう思ったら、あんなに必死だった漫画本のことも、これから先の未来のことも
何もかもがくだらないガラクタでしかないように思えてしまう。
「そうだよね。お父さん…」
煌びやかなクリスマスツリーの銀色のオーナメントが光の雫を揺らして、立ち止まった私を呼び止める。
そこに映る姿はなんだかひどく不格好で、ぼんやり霞んで見えた。
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