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12月22日。
約束の日はあっという間にやってきた。
信用ならないヤツとみなして携帯の番号まで交換したけど
私から電話をかけてもいないし、聖からかかってもきていない。
意気込みながらも不安がよぎる。
でも意に反して、約束させた時間より早く聖は現れた。
そしてやっぱり無表情のまま開口一番、予想以上の最悪な結末を告げた。
「ごめん。やっぱりダメだった。」
「やっぱり…って!そんな簡単なもん!?」
「簡単なんかじゃなかったけど。
だいたいあいつは関係ないんだし。むしろ俺と同じ被害者だろ?
てか、これ以上俺にどうしろっての?」
「そ…!それはそうだけど…」
自分を棚に上げる気は無かった。でも…
虚しさと悔しさと情けなさが一気に押し寄せて、私は必死で涙を飲み込んだ。
「…もういいっ!サヨナラ!」
「向井…さん、さ。
なんかあんたってもったいないよね。色々。」
意味不明な同情にしか取れない言葉に怒り心頭で振り向いた私は、不覚にもドキリとしてしまった。
初めて見せる聖の熱を帯びた眼差しに、思わず体ごと引き寄せられそうになる。
「明後日の放課後さ。
同じ時間にまたここに来なよ。」
「べべ別に、お詫びとか要らないし!
お手数おかけしましたっ」
なんだかやけに心臓が痛い。
同情なんて大嫌いなはずなのに
明後日…24日はクリスマスイブ。
一瞬でも何かを期待してしまった自分がどうしようもなく恥ずかしく思えて、私はその場から逃げるように駆け出していた。
それを見送るダークグレーの制服が、意味ありげにスマホを操作してたのなんて知るはずも無いままに。
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