プロローグ

2/2
前へ
/9ページ
次へ
寒さの抜けかけた4月に、俺は古びた軽トラで颯爽と駆け抜ける。 軽トラには"WATER MOUTH"の文字が汚い字で書かれている。 そんな様子を客観視するとなかなか面白いことになっている、と思う。 でも、この軽トラは俺が食い繋ぐ為に必要なもので、この移動もまた俺にとって大切なことなのだ。 しばらく車を走らせ、あるホテルに辿り着く。 そして俺はおもむろに携帯を取り出し電話を掛けた。 『RiRiRiRi……ガチャ……………あやちゃん……?』 「おう。おはよう。下で待ってるぞ。」 眠たそうな相手の声を聞き、言った通り、ホテルの前でしばらく待っていると、それから10分程で彼は降りてきた。 「あ…あやちゃん、おはよー…。」 「おう。おはよ。ほら早く乗れ。」 「うーん……あやちゃん。」 「ん?どうした?」 「ちゅーして。」 「………………早く乗れ。」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加