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「いらっしゃい」
そんな男特有の太く低い声で静かに言う。
目線はお客さんに、片手は隣に並んで立っている男の口元に。
顔はわずかに笑っているが……
額にはきっと青筋が浮かんでいるだろう。
それの元凶はこの隣の男にある。
俺の名は水口綾名。
"あやな"と女みたいな名前だが、正真正銘の男だ。
隣のこいつは水口風見。
"かざみ"となんとも読みにくい名前のこいつとは赤ん坊の頃からの幼馴染みだ。
……………………不本意だが。
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