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こいつは日課として必ず俺の唇を狙ってくる。 それは幼稚園の頃からだ。 このアホは今日も俺の側にやって来て、キスをしようとしてきた。 手に持っている包丁をこいつの手に突き刺そうと思ったほどだ。 俺らは軽トラ……というよりワゴン車に食材などを載せ、ビルの下や、道路沿いなどでサンドイッチを売っている。 高校生になって進路を考えた時、俺はじぃちゃんが経営してた喫茶店で働きたいと思っていた。 でも、俺が高2の夏、じぃちゃんは呆気なくこの世を去り、喫茶店は壊され、今や駐車場に… 落ち込んでいた俺は、本当に、本当に本当に不本意だが、こいつに励まされ、流れるまま移動トラックの販売を始めたのだ。
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