第1章

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 飛鳥は得意げにサクラの上着のポケットからサクラの小型ナイフを取り出すと、宮村にわざと見せ付けるように広げ、ナイフを押し当てしっかり引いた。だがデニムは一本の繊維も切る事はできなかった。 「え!? この服……防刃なの!?」  飛鳥は得意げに頷きながら、シャッシャッとナイフで上着を撫でる。しかしどこも切れない。飛鳥はサクラの上着を掴み上げ広げてみせた。 「強く切れば切れるけど、防御力は相当あるねん。ついでに伸びるしな。確か火にも寒さにも強かったはずやで」  そういうと、飛鳥は上着を宮村に渡した。『着ろ』という意味だと理解した宮村は、さっそく着ていたウールの上着を脱ぎ、試しに袖を通してみた。 驚いたことに、着れた。 宮村は胸が大きいので腕はともかく胴は無理だと思ったが、飛鳥が言うとおりひっぱればソフトデニムのように伸び、ちゃんとボタンを絞めても動きは窮屈ではない。 「ムム……胸が強調されてなんかエロいな……うへへ♪」と、まるでエロ中年のような事を飛鳥は呟くと、今度はちゃんと説明を続けた。 「サクラ、ヘンな癖ってなー。あいつ、下着以外はみんなダブダブの大人用の服を着とるんや。袖もズボンも精一杯折り曲げとるし腰は思いっきりベルトで絞めとる。やから…… ベルト以外は普通体型なら大人でも着れるんや」  サイズは米国サイズのSだから、日本だとMサイズに近いだろう。飛鳥も着たことがある。しかし今飛鳥はバリアーを持っているのでこの上強化服は必要ない。 「た……確かに変な子ね。今更だけど」 「ついでに同じデザインの服しか着いひんからなぁ~ あいつ、これとほとんど同じデザインの上着、11着持っとるし。あいつはアニメのキャラかい! 衣装かいっ!」 「本当に……ヘンな子ね」  他にも服あるわいっ! ……と、この場にサクラがいれば猛抗議しただろうが、基本的には飛鳥の言うとおりこの格好がデフォルトである。 「後でズボンも試してみたら? この服やったら、とりあえず狂人鬼や狂犬が引掻いたり浅く掴まれるくらいなら防御してくれるはずや。…………で、これからが本題! あいつの手荷物大公開!」  一分後……  二人の前には色々なアイテムがびっしり並べられていた。
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